イギリスの「クリームティー」って何? スコーンの歴史とイギリス人のこだわりはどんな感じ?

イギリス料理

イギリスのお茶文化について

イギリス行くと「クリームティー(Cream Tea)」という言葉を見かけます。最初わたしは「紅茶に生クリームを入れるお茶のこと?」かなと思っていました。でも全然違うということがわかりました。クリームティーは、焼き立てスコーンにクロテッドクリーム、そしてジャムに温かい紅茶のセットのことを言います。イギリスの伝統的なティータイムのスタイルのことです。
今回は、クリームティーの主役である「スコーン」の意外なルーツや、名前のロマンチックな由来、そしてイギリスで今も繰り広げられている「食べ方論争」までご紹介します!

そもそも「クリームティー」と「アフタヌーンティー」の違いは何?

イギリスのお茶文化といえば「アフタヌーンティー」が有名ですが、クリームティーとは何が違うのでしょうか?

アフタヌーンティーは、3段のティースタンドに、フィンガーサンドイッチ、ケーキ、そしてスコーンなどが贅沢に並んだ、日常から離れて楽しむおもてなしの時間です。

クリームティーは、スコーンと紅茶だけのもっと日常的に、そしてカジュアルに楽しむシンプルなセットです。

シンプルだからこそ、主役であるスコーンの焼き加減や、合わせるクリーム、紅茶の品質に好みがあって、シンプルだけど奥の深い文化なのです。

主役「スコーン」の驚きの歴史:昔は平たいパンだった!?

今でこそふっくらと丸く焼き上げられるスコーンですが、その歴史を遡ると、今とは全く違う姿をしていました。
スコーンの歴史は古くて、1500年代初めのスコットランドがはじまりと言われています。当時のスコーンは以下のようなものだったそう。
  • 原材料:小麦粉ではなく、主にオーツ麦(オートミール)や大麦が使われていた。
  • 焼き方:当時はベーキングパウダーがなかったため直火にかけた鉄板の上で焼かれていた。
  • 形状:お皿ほどの大きな円形に平たく焼き、それを三角形に切り分けて食べていて、それは伝統的な平焼きパンに近いものでした。
そんな素朴なスコットランドのパンがなぜスコーンになっていくんでしょうか?
1840年頃、ヴィクトリア女王の侍女であり親友でもあったベッドフォード公爵夫人が、昼食から夕食までの間の午後にお腹が空くため、お茶とともにビスケット、軽食を自室に用意させ、友人たちを招いて楽しむようになり、これが「アフタヌーンティー」の始まりだと言われています。
この大流行に伴ってオーブンで焼くようになり、小麦粉をベースにベーキングパウダーでふっくらと膨らませて、パンからスコーンへとレシピも洗練され、現在のような小さく可愛らしい形へと進化していったそうです。

「スコーン」という名前の由来:3つの面白い説を知っていますか?

「スコーン」という不思議な響きの名前はどこから来たのでしょうか? 調べてみると主に3つの有力な説があります。
① 最も有力!オランダ語・ドイツ語の「美しいパン」説
オックスフォード英語辞典(OED)などでも最も支持されている説です。 中世オランダ語で「美しいパン」や「上質な白いパン」を意味する「schoonbrot」(schoon=美しい、broot=パン)や、それに極めて近い古いドイツ語の「sconbrot」から派生したと言われています。
② 歴史のロマン!「スクーンの石(運命の石)」説
スコットランドのパース近郊にある「スクーン宮殿(Scone Palace)」は、歴代のスコットランド国王が即位する戴冠式が行われた神聖な場所です。 その戴冠式で玉座の足元に置かれた有名な礎石「スクーンの石(Stone of Scone / 別名:運命の石)」に形が似ていることから名付けられたというロマンチックな説です。
③ ゲール語の「形のない塊」説
スコットランドの先住民族が使用していたゲール語の「sgonn」に由来するという説です。この言葉には「形のない塊」という意味があります。

イギリス国内で大激突!スコーンを巡る「2大論争」

スコーンは、長い歴史を持つだけに、イギリス人の中で現代でも真剣なこだわりが繰り広げられていてます。
論争①:発音は「スコン」か「スコーン」か?
イギリス国内でも、地域によって発音が分かれています。
  • 「スコン(Skon)」:スコットランドやイングランド北部では、「gone」と韻を踏む短い発音が主流です。知り合いのイギリスの北部の人たちは、スコーンと伸ばさず「スコン」と発音しています。
  • 「スコーン(Skoan)」:イングランド南部や、アメリカ、カナダなどでは、「own」と韻を踏む長い発音が主流です。伸ばすいい方は、北部の人たちからはちょっと気取った感じに受け止められたりします。
論争②:ジャムが先か?クリームが先か?
クリームティーを楽しむ際、スコーンに「ジャム」と「クロテッドクリーム」のどちらを先に塗るかで、イギリスの2つの地域の意見が分かれています。
  • コーンウォール(Cornwall)スタイル(ジャムが先!) まずスコーンに「ジャム」を先に塗り、その上に「クロテッドクリーム」を乗せます。 温かいスコーンにジャムを塗ることで、生地にジャムのフルーティーな美味しさがしっかりと染み込むからおいしいんだということ。
  • デヴォン(Devon)スタイル(クリームが先!) スコーンに「クロテッドクリーム」を先に塗り、その上に「ジャム」を乗せます。 濃厚なクリームを先に塗ることで、少し液状のジャムが温かいスコーンに染み込みすぎるのを防ぐ「バリア」を作るからおいしいのよ!ということ。。
このこだわりは、現地ではお互いに譲れないプライドとなっていると思います。私もイギリスに来たばかりのこと、あなたはどちら先が好きなの?と聞かれて困ったことがあります。私はジャムが先!そしてたっぷりとクリームを乗せてパクっと食べるのが好きです!

あなた好みのクリームティーを見つけよう!

普段何気なく食べているスコーンやクリームティーには、500年以上もの歴史と、イギリス人ならではのユニークなこだわりがぎゅっと詰まっています。
イギリスに来てティールームでお茶をする時は、ぜひクリームティーを楽しんでください。温かいスコーンにたっぷりのジャムとクロテッドクリームをのせて、紅茶を楽しむ、そんなひと時。そして、「ジャム先(コーンウォール式)」と「クリーム先(デヴォン式)」の両方を試して、あなたにとっての「完璧な一口」を見つけてください。

コメント

タイトルとURLをコピーしました